高いスキルや豊富な経験を持つ人材は、一見すると企業にとって非常に魅力的に映ります。しかし、その人物のパーソナリティや素行に問題があった場合、組織全体に深刻な悪影響を及ぼす可能性があります。
協調性のない言動、ハラスメント、金銭トラブル――。これらの問題は、採用時の面接だけで見抜くことは極めて困難です。だからこそ、経歴や能力だけでなく、人物そのものに焦点を当てた「パーソナリティ・素行調査」の重要性が高まっています。
職場の和を乱す、危険な兆候
バックグラウンドチェックでは、候補者の内面についても調査を行います。過去の職場での評判や言動から、以下のような問題が明らかになることがあります。
- パーソナリティの問題:
- 差別的な発言や攻撃的な言動を繰り返す。
- 協調性がなく、常に自分の意見を押し通そうとする。
- 職場内で対立を煽るような行動をとる。
- ネットワークビジネスや特定の宗教、政党への執拗な勧誘を行う。
- 勤務態度・倫理観の欠如:
- 遅刻や無断欠勤を繰り返す。
- 実績を大幅に水増しして報告する。
- 背任行為や就業規則違反を繰り返していた。
- パワハラ、セクハラなどのハラスメント行為で問題を起こしていた。
- 素行の乱れ:
- ギャンブルに過度にのめり込んでいる。
- 反社会勢力との密接な関係が疑われる。
- 複数の貸金業者から借金をする多重債務者で、職場にまで督促の連絡が来ていた。
- 酒癖が悪く、暴力沙汰で警察の厄介になったことがある。
- 過去に犯罪歴や重大な事故歴がある。
「真面目そう」な見た目に隠された素顔
ある企業では、従業員の多くが肉体労働に従事していました。そこへ面接に来たAは、真面目な働きぶりでしたが、実は上半身に入れ墨がありました。他の従業員が怖がってしまい、退職者まで出る事態に。管理者も「真面目に働いているから解雇もできない」と頭を悩ませる結果となりました。
採用とは、単に労働力を確保することではありません。企業文化を共に創り上げていくパートナーを迎えることです。スキルや経験という「見える部分」だけでなく、パーソナリティや人間性という「見えにくい部分」にも目を向けることが、健全な組織作りには不可欠なのです。